てんぴょう : 展評

編集長日記

2010.02.02銀座という求心力

先日、仲の良い画家から「山口さんが倒れたそうだ」と聞いて驚いていたのだが、
それから一週間も経たずに「亡くなられたそうだ」と聞いて、さらに驚いた。
そして、京橋にあるギャラリー山口は1月をもって閉廊となった。
ギャラリー主の逝去、閉廊という大きな出来事が続き、お別れ会も開けないほどの混乱、との主旨の文章がHPにあった。

思えば「てんぴょう」が季刊だったころ、自分が担当していたインタビューコーナーに出てもらった10数人の美術家のうち3人が、山口さんのところで発表したことのある人たちだった。
一方、ベテランの美術家たちも発表をし続けていたギャラリーでもあった。

画廊巡り、といえば銀座という中で、巡る人の誰もがリストから外せないギャラリーであった。
常に広いスペースで経営され、新人からベテランまで発表していたので、苦労も多かったのだと思う。

長年、お疲れ様でした。ご冥福をお祈りいたします。


2010.01.29素晴らしき「誤訳」

大人、というものへの嫌悪感丸出しだったサリンジャーが91歳で亡くなった。
代表作、かつ大ベストセラー「the catcher in the rye」は発売以来世界で約6000万部売れているという。

日本ではなぜか「危険な年齢」という邦題で初刊行。
どうやら売れなかったようだが、この翻訳では・・・。

その後「ライ麦畑でつかまえて」で一気にベストセラーへ。
「つかまえる」という主人公視点でなく、ライ麦畑で遊ぶ子供たちの視点の「つかまえて」が「誤訳」とも言えるだろうが、この本に漂ういい雰囲気を全部凝縮している「名訳」ともなったと思える。

その後村上春樹の「キャッチャー・イン・ザ・ライ」という新訳も発売され、
10代以来久しぶりに読みなおし、主人公をなだめる「良き大人」である教師がホモだったというのに笑った。普通の青春小説なら、ここで軌道修正がなされるんだけどね。

晩年は、発表もせずやたら訴訟していたサリンジャー。
あの村上春樹の長い解説も拒否したサリンジャー。
嫌悪していた大人を超えて、爺になった自分にいらついてたのだろうか・・・。

ピーター・バラカンは、サリンジャーを読むのは「通過儀礼」だ、と言ってたけど
今も「ライ麦畑でつかまえて」欲しい人たちが確かに買い続けている。

では、またー

2010.01.25贅沢な空間

先日、会期終了間近にDOMANI展を見に国立新美術館へ。
なんか1階が混んでて、意外にも人気あるんだなぁと思ったらルノワール展をやってた。
なるほどね。

で、2階へ。
そこそこ混んでる中、鑑賞。
1作家1部屋という感じで展示。
キャリアのある美術家ばかりなので、安定した内容。
壁は真っ白、天井高十分、ライティングもばっちりな贅沢な空間に負けてない。

この美術館、基本は貸会場なんだよねー。
賃料も高いのだろうけど、なんだかもったいない。
企画・収蔵が満足にできない美術館ばかりだからね。

では、またー

2010.01.21引っ越しとっくに完了、ネットやっと開通

引っ越しは無事に完了し5日から事務所も開いてました。
しかし、ネットがなぜか不通。

というのもこのビルにひかれている回線とプロバイダーのプランが合致しないとか・・・。
あれ・・・移転前はこのプランがいいですね、とか和やかな会話をしてるのを耳にしてたのだが・・・。


急遽プロバイダーを変えて、やっと昨日開通。

正直、事務所にいてもなーんの仕事にもならなかった。

てなわけで今年はメールで出してた年賀状も出せず、
移転した案内も、出会ったら名刺渡す、ってな感じ。

なにはともあれ、今年もよろしくお願いします。

では、またー。

2009.12.21引越し

引越しでバタバタとしてまいりました。
会社が、京橋の古いビルに移ります。
来年五日からは、そこで仕事開始。
湯島の落ち着いた感じが、すこしビル付近にはある感じなので一安心。
高層ビルどーん、どーんの雰囲気は毎日行く気になれないので。

ではではー。

2009.12.03現代で最も有名な画家

昨日、平山郁夫氏が亡くなったとのニュース。
テレビでは速報、新聞では一面で写真入りの記事、社会面等でも大きく報じていた。
まったく美術を知らない人でも、名前だけは知ってるという人も多い。
さらには、氏の親戚だか身内だかを名乗って寸借詐欺をはたらき、逮捕される者までいた。
氏の知名度がどれだけのものか示すものであった。

タレント化してテレビで露出していくのでなく、
ユネスコ親善大使、日中友好、文化財保護、二度の東京芸大学長就任等でひろまった知名度だけに、今後もそれは揺らぐことはないだろう。

2009.11.24溢れる絵画

先日、TCAFの内覧会へ。
アートフェア東京とは違い貸業務を行ってるとこも出展可能なようで、それとはすこし違った顔ぶれ。

とにかく絵画、絵画、絵画。しかも似た傾向のばかり。確かにNICAFの時から絵画は多いのだけど、それなりにバリエーションはあった。またそれが画廊の顔にもなっていた。
空振りでは終われない、もしくはそこそこ売れる時勢なので、とりあえず稼ぎたい、どちらの心情もわかるのだが。

これも画廊だけが美術を引っ張っていかねばならない今の美術界の状況の一面なのかもしれない。
てなことを思っていたら、今日届いた美術評論家連盟会報で「いま、あえて絵画を問う」という特集が。

ではではー。

2009.11.16復帰して1本

約10日間ほど、ぶっ倒れてた。
流行のインフルではないのだけど、今回はそっちに罹ってしまったほうが良かったかも、と思えたほど。約3日間記憶が曖昧だし。

で、復帰して1本展評をアップ。
不景気にうちのめされっぱなしの彫刻において、唯一といっていいほど頑張っていUBEビエンナーレの展評。
アートフェアとかいっても、みな絵画ばかりなんだよね。

ではではー。

2009.10.28叙勲

やはり季節の変わり目は、40越えたらつらくなる。
はい、風邪ひきましたよー。

先日、秋の叙勲の発表があり、文化功労者の中に草間彌生さんの名前が。
日本を飛び出しアメリカで実績をあげても、日本では認められなかったと公言していたが、
ついに功労者に。

美術において秋の叙勲といえばいわゆる画壇の独占であったけど、
故・難波田龍起さんの時といい、今回といい国も変わってきた・・・・・・いや美術が変わってきたのかもしれない。

では、ではー。

2009.10.131本アップ

さてさて、やっと浜口陽三記念銅版画大賞展をアップ。
会った人に聞いてみると、案外知られてないようなので、面白かったよーと宣伝。

引き続き、芸大美術館での「異界の風景展」を書いてる途中。
この展覧会、ほんと複雑。
14人の風景諭と作品ととらえれば良いのかもしれないけれど、大きなテーマの下に集まるも、
皆違う方向を向いている、といった感もある。
ただ、名品展で逃げない姿勢は昨今の美術展のご時世、評価されるべき。
見た風景をとらえるのか、描いた作品が風景となるのか・・・いやはや複雑。

もうすこしでアップしまーす。

ではではー。

2009.09.28放置気味ですが・・・

巨人が優勝してもこんだけ静かなテレビは初めてみたわ。
CSなんか始めちゃったからかな。
鹿島が3連覇したら、もうすこし賑やかになるのかな。

先日、浜口陽三生誕100年記念銅版画大賞展の授賞式等へ。
会場のミュゼ浜口陽三のキャパのこともあって、908名の応募者から入賞はたった18名という狭き門。それだけに全作品見応えのある珍しい大賞展だった。
後日展評にしまーす。

来月1日は、芸大美術館の油絵教員たちが、自作を他の作家を自ら選び並べるというちょっと変わった展覧会を見る予定。
なんやら前に国立博物館で似たような企画があったような、ないような・・・。
でも、一大学の企画としては面白そうなんで、期待。

ではではー。

2009.09.02政権変わってどうなるんだろねー

さてと、1カ月ぶりの日記です。
お盆、そして体調不良で放置しっぱなしでした。

んで、気づいたら政権交代。

民主党は基本的に文化には興味がないご様子。
なので自民党がやってきたハコモノ文化行政さえもしないでしょう。

美術においては、国際交流基金も予算カットとかあるんじゃないでしょうか?
文化庁の海外留学は廃止はないだろうけど、推進はされないでしょう。

んで、サントリー天保山ミュージアムと川崎のIBMギャラリーが終了へ。

ますます画廊頼みになるのかな・・・・。

2009.08.03保存と公開

なんか久しぶりに真面目なタイトルのような気がする。

というのも、先日新潟市美術館で展示された土の作品にカビが発生したというニュースがあったから。

美術館てのは当然作品を損傷、劣化することなく保管、展示せねばならない。
しかし、素材や制作方法は多様化しすぎて建物等が対応しきれない現実。

今回の件で、新聞社企画の名品展の巡回には厳しくなってしまうのかなぁ。
カビは浮遊するし・・・。
でも、美術館を責め立ててもしょうがないとも思える。

あ。ベネツィア・ビエンナーレ3本立てのうち、2本アップしました。

では、また?。

2009.07.31「壁」の10年

先日は、東京10画廊へ。
ユマニテでパーティーは行われたのだが、
やはり人は減っているような・・・。
でも、毎回パンフレットをきちんと作成してるのはいいこと。

今日、東京都からワンダーウォール10年間の入賞作品図録が届いた。
VOCAと同じように、現在知名度をあげている美術家が結構入賞していた。
もう一つくらい同じようなコンクールがあれば、ベストなんだけどなぁ。

では、また?。

2009.07.22巨星消える

日本のロックには正直興味が薄れてたとき、
ラジオでものすごいカッティングを聞いて「ウィルコ?」と思ったら、
日本人アベフトシのだった。

もうね、ほんとかっこよかった。
バンドは奇跡を生むけど、TMGEはまさにそれだった。

ほんとかっこよかった。

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