EXHIBITION | TOKYO
アレッサンドロ・ラホ(Alessandro Raho), マーク・レッキー(Mark Leckey)
「After the Spell 魔法が解けたあと」
<会期> 2026年4月3日(金)- 5月2日(土)
<会場> TARO NASU
<営業時間> 11:00-19:00 日月祝休
4月−5月のTARO NASUではMark Leckey(1964-)とAlessandro Raho(1971-)による2人展「After the Spell 魔法が解けたあと」を開催いたします。
ともにイギリスを拠点に活動しているLeckeyとRaho。ふたりはそれぞれ、一見するとまったく異なる制作姿勢でそのキャリアを築いてきた。60年代生まれのLeckeyは、80年代末のイギリスで注目を浴び、その後、大衆文化や消費行動等の現象を主題としながら、テクノロジーを駆使した映像作品やコラージュ、さらにパフォーマンスにも力を注いできた。他方、70年代生まれのRahoは、そのキャリアの初期から一貫して、肖像、静物、風景という古典的な絵画の枠組みでの独自の表現を模索し、ペインティングというジャンルにいまなお残されている可能性の豊かさを提示することに集中してきた。対照的ともいえるこの二人が、個人的な親交のなかで互いの制作への理解と共感を深め、近年その交流を2人展という形式で実体化させるまでにいたった。今回のTARO NASUでの展覧会もまた、イギリスで試みられた二人展の最新の展開として位置付けることができるだろう。
Leckeyの今回の展示作品は、人間の欲望を原動力として巨大化していく都市の華やかな幻惑と、その裏に潜む暗部をも示唆するインスタレーションである。彫刻と映像で構成される展示では、中世の城を思わせる立体が、人間の意思や欲望をたたえる器として立ち現れる。多彩な光に彩られた映像作品はその彫刻作品に躍動感と輝きを与え、文明という「幻想」が発する強力な輝きを発し、鑑賞者を幻惑する。
対するRahoは静物と風景のペインティングでこたえ、都市に住む人間の日常を静かに描き出す。青空の下に描き出される家や光に溢れた無人のプールサイドのイメージは、静かで穏やかな生活を象徴するようにみえる。が、その淡々とした日々にかすかな不協和音を奏でるかのように、燃えるオブジェやマジックショーのイメージを主題とするペインティングを加えたところに、Rahoとその共犯者であるLeckeyの企みが見え隠れするのだ。そしてRaho の描く人物は、無表情にもみえる抑制された眼差しのなかにすべての感情を秘めながら、画面から鑑賞者を見つめかえし、問いかける。そこに見えているものは現実なのか、それとも幻想なのか、と。
今回の二人展は、作品を通しての2人のアーティストの対話である。人間の根源的な欲望と人間そのものに対する眼差しを共有しながら、彼らは、自らが作り出した文明のなかで揺れる人間存在を問いかける。欲望をパートナーとして踊り続ける自分と、それをみつめるもう1人の自分。鑑賞者が展覧会をとおして見出すものは、文明という「魔法が解けたあと」の光景なのだろうか。
TARO NASU(タロウナス)
https://www.taronasugallery.com/
東京都港区六本木6-6-9ピラミデビル4F
tel:03-5786-6900
