EXHIBITION | TOKYO
津上みゆき(Miyuki Tsugami)
「寄り道」
<会期> 2026年4月25日(土)- 5月30日(土)
<会場> ANOMALY
<営業時間> 12:00-18:00 日月祝休 *GW休廊:4月29日、5月3日 – 6日
ANOMALYでは、4月25日 (土) より5月30日 (土) まで、津上みゆき 個展「寄り道」を開催いたします。
ANOMALYで3回目の個展となる本展では、様々な場所のスケッチを元に2025年に制作された作品と、本展のために描かれた最新作を含め約20点を展示いたします。また、今までも銅版画や木版画を制作してきたエディション・ワークスとの協働で、この度初めて制作した石版画も東京初展示となります。
2024年にANOMALYで開催した展覧会「欠片、植物、人の場所」では、コロナ禍に描かれた20枚のキャンバスから成る全長約30メートルに及ぶ連作《View, 20 Pieces, 2020-21》を発表。世界が非常事態のさなかも淡々と流れていた時間の存在が恐ろしくも静かな風景として可視化され、非日常という特別な時間を見つめることを通して、当たり前のように過ぎていく日常のあり方を改めて考える機会となりました。
本展で発表される作品は2024年以降のスイス、沖縄、岡山、鹿児島、三重などを取材した作品群であり、各地での作品展示や滞在制作、そしてレクチャーやシンポジウムなど様々な土地と人に関わる旅の中で生まれました。一方、日常として長きにわたり制作していたアトリエを一時的に移動する期間を経る中、微細な違和感や居心地の悪さを意識するようになり、改めて日々と旅を俯瞰して眺めたとき、いろいろな境界線が溶けていく感覚があったといいます。
寄り道
居場所が定まらず、日常も旅も境界が溶けていく。いま傍らに在る風景を描く。そこから風景ということ、風景を絵にすること、風景画について、描きながら考えている。日常なんてどこにもない。日々の連なりは幻想で、今この瞬間の次のことも予想できない。人生の道行きで偶然出会った風景を絵にして、一つに連なる風景の世界を絵画で眺める。行き先を決めずに絵画とは何かを問いながら、世界の中で彷徨っている。
絵画について考えたいとき、その真ん中で迷うより無作為な寄り道をして、わかることや見えてくることに時折期待する。脇から見る、違う視点でも動かしてみたい。
2026年4月1日 津上みゆき
「人がいない風景を、人は知らない*」と作家が語るように、風景とは物理的な要素だけでは説明できない、常に私たちの認識とともに立ち現れる不思議な存在です。作品平面の中に重なり合う様々な点や線、色や形は画家の身体を通して外の世界と内の世界をつなぐ空間となり、同時に鑑賞者とその内なる風景の間にある存在でもあります。
絵画に大きな変革を起こした写真が誕生し、画像が生成AIが生まれ、衛星で土地の様子を瞬時に詳細に受け取ることの可能な現代となりました。手の中におさまる小さなスケッチブックと鉛筆で、自らおもむいた場所で行ったスケッチを元に風景を描く津上の行為が意味することは何でしょうか。個々の作品との対話が意識を、たえまなく流れる時、そして五感を含めた360度に拡がる世界へと向けるきっかけとなれば幸いです。
*津上みゆき展「View - 人と風景と」カタログ、サイトウミュージアム、2025年、p.27
