EXHIBITION | TOKYO
李禹煥(Lee Ufan)
「Work on Paper / Sculpture」
<会期> 2026年8月4日(火)- 10月10日(土)
<会場> SCAI THE BATHHOUSE
<営業時間> 12:00-18:00 日月祝休
李禹煥(1936年生まれ)は、1960年代後半から本格的に制作を開始し、60年代末から始まった戦後日本美術における重要な動向「もの派」を理論と実践で牽引しました。本展では、素材の物質性に着目して立体と平面を横断するその仕事を、1970年代から近年までのドローイングと彫刻を通して紹介します。SCAI THE BATHHOUSEでは実に4年ぶりの個展となる本展は、海外2都市の美術館(ベニスのサン・マルコ・アート・センター、ニューヨークのディア・ビーコン)での展覧会と同時開催となります。
1970年代後半から80年代初頭にかけて紙に木炭や水彩で描かれたドローイングは、反復する行為の痕跡によって時間の経過を示す同時期の代表作《線より》や《点より》との連関を想起させます。一方、それらに散見される荒々しい筆跡は、後に続く《風より》や《風と共に》のシリーズの混沌とした展開を予兆するようでもあります。1980年代終わりに制作された作品では、抑制した筆遣いによって何も描かれていない空白が目立つようになり、2000年代以降は、ほんの僅かの筆跡と、その周囲にたっぷりと残された空白の響き合いへと意識が向けられています。これらの作品において、描く行為が作家の自己の表出であるとすれば、余白はその外の世界を示唆するものであるといえます。作家は同時に、絵の具や木炭といった画材や支持体である紙を、伝統的な芸術における表象や意味の領域から解放し、それらのものとものとしての関係を現前させます。このようなさまざまな相互関係は、画面を越えて、展示空間やそこに佇む私たちにも開かれたものです。
すべては相互に関連しあっているというこの世界観は、李の彫刻にも通底しています。《関係項》は、作家の恣意的な表現を極力排しながら、自然や人工の素材を空間に配置する立体作品のシリーズです。ギャラリーに展示される3点は、それぞれ石と、異なる形状の鉄を組み合わせ提示します。石は、人類以前から存在し、自然や宇宙を感じさせる素材である一方、石から生成される鉄は、人工物や近代の象徴として、李の作品に繰り返し現れます。石の形と相関するように曲がったステンレスの棒や一辺がへこんだ鉄板は、物質間に作用する目に見えない力学を喚起します。こうした作品群を通じて李は、ものともの、ものと人、ものと場所との関係を問いかけているのです。
SCAI THE BATHHOUSE(スカイザバスハウス)
https://www.scaithebathhouse.com/ja/
東京都台東区谷中 6-1-23 柏湯跡
tel:03-3821-1144
