EXHIBITION | TOKYO
ヴァルダ・カイヴァーノ(Varda Caivano)
「ヴァルダ・カイヴァーノ展」
<会期> 2019年10月11日(土)ー 11月9日(土)
<会場> 小山登美夫ギャラリー
<営業時間> 11:00-19:00 日月祝休
この度小山登美夫ギャラリーでは、ヴァルダ・カイヴァーノ展を開催いたします。本展は当ギャラリーにおいての3年ぶり4度目の個展となり、新作ペインティング9点と、ドローイング、ペインティング、コラージュをほどこした紙の作品を発表いたします。
ヴァルダ・カイヴァーノは、1971年アルゼンチン、ブエノスアイレス生まれ。2004年にロイヤル・カレッジ・オブ・アートにて修士号を取得しました。その以前には、ブエノスアイレス大学にて生物学と美術史専攻し、2000年代初期にイギリスに拠点を移し、ゴールドスミス・カレッジにて学士を取得。現在もロンドンを拠点に制作しており、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートおよびアムステルダムのアーティストレジデンス施設であるDe Ateliersにて客員講師を務めています。
近年のアーティストレジデンスでの制作として、2018年スペインのCCA Andratxでのものがあり、ここでの素材と思考の追求が、本展の作品に重要な影響を与えています。
彼女の作品は、多種多様な色彩や線、筆触の何層もの重なりあいで構成されています。そして意図的に画面に余白が残されており、未完にとどめたようなその描き方は、観る者の想像性をかき立てる豊かさや、限りない空間性を感じさせます。
色彩は、初期の鮮やかなものから、前回の2016年の個展では「グレーペインティング」と称するグレー、ブルー、ブラウンを基調とした抑制された色合いに変化し、今回の新作ではまた赤、黄色、緑などの鮮やかな色彩の作品が描かれています。
ペインティングに描き込まれた鉛筆のドローイングの線も大きな特徴です。それはキャンバスの枠の中にさらなる枠のような機能を与えており、まるで一作品の細部にいくつもの作品があらわれているようにも見えます。
カイヴァーノは、さまざまな観察、熟考、発見、決断、計画や即興を繰り返しながら、色、線、素材、筆触と余白で奥行きや密度などを作品に表わしていきます。そしてやがて彼女の思考の痕跡と作品自身が発しているような声や会話と重なる・・この関係性が育つまでのある一定の時間を経て、ひとつの作品が完成します。作品の色彩や線、筆触の何層もの重なりは、その時間の経過を表わしているかのようです。
カイヴァーノ作品とは、このような制作プロセスそのものであるといえ、以前作られた作品や同時に制作されている作品同士の連鎖も生じさせています。このように画面に立ち現れる効果を感じながら、時間と作品空間の接点を定着させようと真摯に表現された作品は、物質性と幻想性が同居した、まさに抽象絵画の可能性を追求しているといえるでしょう。
TOMIO KOYAMA GALLERY(小山登美夫ギャラリー)
http://tomiokoyamagallery.com
東京都港区六本木6-5-24 complex665 2F
tel:03-6434-7225