EXHIBITION | TOKYO
アラン・ソンフィスト(Alan Sonfist)
「Echoes of a Vanishing World」
<会期> 2026年10月17日(土)- 12月25日(土)
<会場> Yumiko Chiba Associates
<営業時間> 12:00-19:00 日月祝休
このたび、Yumiko Chiba Associatesでは、移転後初となる企画として、アメリカ人アーティスト、アラン・ソンフィストの個展「Echoes of a Vanishing World」を開催します。1946年にニューヨークに生まれたソンフィストは、ランド・アートのパイオニアとして、60年代から半世紀以上にわたり、芸術を地球環境やエコロジカルな視点へと拡張しようとしてきたアーティストです。
ソンフィストは、人類が自然を絶えず消費可能な資源として扱ってきた結果、地球資源が危機的な速度で失われつつあるという問題意識をもち、エコロジーやアクティビズム、自然保護、そして社会や公共性の領域に拡張する多数のプロジェクトを手掛けてきました。
ランド・アートといえば、土木工事に似た大規模な作業によって大地への介入を行うロバート・スミッソンやマイケル・ハイザーの存在が知られています。しかし、ソンフィスト自身が「私は自分の作品で大地を改変するのではなく、取り戻したいのです(*)」と語るように、彼は、同じランド・アートの潮流のなかにありながらも、そうした人為的な大地への介入とは異なる道を歩んできたアーティストだと言えるでしょう。
彼の活動を象徴する作品に、1965年に構想された《タイム・ランドスケープ》があります。このプロジェクトでソンフィストは、都市開発によって大きく改変されたニューヨーク市域の一区画に、そこに存在していた森や生態系を取り戻すため、市当局との10年以上に及ぶ協議を重ね、かつてのその場所に自生していた植物だけによる森林を再現しました。
ソンフィストにとって、風景は歴史的記憶をもつものです。都市のなかにその土地本来の生態系を再現することは、都市住民に自然の歴史や記憶を取り戻させることにつながっています。ソンフィストは、人類史だけではなく、都市計画、生態学、地質学が交差する幾多のプロジェクトにおいて、人類の営みと自然との関係性に思考を促すことを試みてきました。
本展では、その作品のなかから、「Echoes of Vanishing World」シリーズを紹介します。 ソンフィストが2000年代から開始した本シリーズは、絶滅危惧種の動物・植物を選び、その動植物の輪郭のなかに、その時代の芸術・文化や、彼らが生存していたであろう土地の風景などをコラージュした作品です。そのことによって、ソンフィストは、自然や動植物を人間の世界と切り離されたものではなく、共に生きる存在として捉え、環境や文化を伝える生きたアーカイヴとして提示します。
現代美術の歴史に重要な足跡を残しながら、いままさに私たちが直面する環境問題において重要な問題提起を行うアーティストとして重視されるソンフィストの個展を、ぜひご高覧ください。
展覧会ステートメント「消えゆく世界の残響」
「消えゆく世界の残響」は、自然、時間、そして人間の記憶の関係をめぐるアラン・ソンフィストの生涯にわたる探究をさらに展開するシリーズです。自然と再生をめぐる神道の思想に対する長年の関心を背景に、本シリーズには、風景や動物、自然の諸要素を人間とは切り離された存在ではなく、ともに生きる歴史に能動的に関わる存在として捉える世界観が反映されています。ソンフィストは、互いを補い合う二通りのコラージュの手法を通して、絶滅危機種を、それぞれが体現する環境や文化を伝える生きたアーカイブとして提示します。
一方の手法では、動物のシルエットを輝く金箔で表し、その生息地の生態系、美術的伝統、地域の歴史を映し出すイメージを重ねています。もう一方では、動物のシルエットの中に直接イメージを切り抜くことで画面が立ち上がり、生物種、場所、文化、環境変化の相互につながる関係を浮かび上がらせます。
金箔の使用は、多くの伝統において聖なるものや自然現象に寄せられてきた畏敬の念を想起させると同時に、自然界そのものが固有の存在感、記憶、精神を宿しているという、神道に着想を得た理解を反映しています。ソンフィストにとって、絶滅危惧種は生態系の喪失を象徴するだけでなく、それらを形づくってきた歴史と風景の生きた記念碑でもあります。
「消えゆく世界の残響」を通してソンフィストは、一つの種が消滅するとき、私たちが失うのは生物多様性だけではなく、世界の集合的記憶のかけがえのない一つの現れでもあることに気づくよう鑑賞者に促します。
Yumiko Chiba Associates (ユミコチバアソシエイツ)
http://ycassociates.co.jp/
東京都中央区東日本橋2-22-1 クロスシー東日本橋ビル1F
tel:03-6276-6731
