EXHIBITION | TOKYO
土屋信子(Nobuko Tsuchiya)
「ハートのA」
<会期> 2026年11月4日(水)- 12月19日(日)
<会場> SCAI THE BATHHOUSE
<営業時間> 12:00-18:00 日月祝休 *Art Week Tokyo期間の11月8日(日)オープン
SCAI THE BATHHOUSEは、ART WEEK TOKYOの「ART FOCUS」のプログラムの一環として、マーティン・クラーク氏(カムデン・アートセンター/ディレクター)をキュレーターに迎え、土屋信子の個展「ハートのA」を開催いたします。
本展に寄せて、マーティン・クラーク氏に寄稿文を執筆いただきました。
「それがみたすものこそ、そんざいなり。それが考えることこそ、ことばなり。そのことばのみがきこえる。それじたいがしこうし、ことばをはっし、きくのである。しこう、ことば、ちょうかく。それはゆいいつであり、なお、すべてのなかのすべてである。ああ、なんというしあわせ。ああ、そんざいというなのふくかな!」*1
「スペースランドの奥深い神秘を、最初は理解できなくても、悩まなくてもいい。徐々に明らかになるだろう。」*2
エドウィンA・アボット『フラットランド:たくさんの次元のものがたり』1884年
土屋信子の作品は、まるで原始的な意思を持つ小さなエンジンのようだ。儚く異なる質感の素材や物質がひとつの塊となり、単なる物質的な領域を超えた世界と結びつき、活性化し、未知なる次元に接続していく。土屋にとって、作品と作品間に広がる空間も彫刻そのものと同じくらい、満ちあふれていて、危ういものである。空っぽの空間などというものはない。私たちは、目に見えないエネルギーや力、物質で満ちた宇宙を漂っているのだ。
壁や床に縦横無尽に配置された作品は、相互につながり、作用し合いながら展示空間全体に展開していく。すると、単に個別の作品が並んだ展示というよりは、作品同士の濃い関係性が広がる場として機能しはじめる。工業的な素材から有機的なフォルムが立ち上がり、作品は、崩れ落ちるか、さらに物質が積み重なるか、その境目で揺れ動いている。個体か液体か、光か音か、振動か量塊か、地図か模型か―何かへとなりつつあるさまざまな状態の狭間で明滅している。すべてはすべての一部。捉えがたく、身体を持たない感覚や意識の断片を、それぞれの要素がぎこちなく映し出す。
― 物理学者達は、宇宙が10次元で出来ていると言う。もし私が素粒子に戻れるなら、私はそれらの全てを感じることが出来るかもしれない。その時私は、感覚や、気分、あるいは意識を持つのだろうか?一つの粒子の生は、何万年、いや、何億年の時を超えるかもしれない。そしてそれがもし、今私が眠っている時のような静けさを感じるならば、それはきっと素晴らしいに違いない。。
土屋信子『ひとりごと』2026年
*1、*2『フラットランド たくさんの次元のものがたり』(講談社選書メチエ、竹内薫 訳、2017年)より
SCAI THE BATHHOUSE(スカイザバスハウス)
https://www.scaithebathhouse.com/ja/
東京都台東区谷中 6-1-23 柏湯跡
tel:03-3821-1144
