EXHIBITION | TOKYO
リチャード・ペティボーン(Richard Pettibone), 金氏徹平(Teppei Kaneuji)
「Monochrome Games (for Duchamp and Brancusi)」
<会期> 2025年12月9日(火)- 2026年1月31日(土)
<会場> Yumiko Chiba Associates
<営業時間> 12:00-19:00 日月祝休 *冬季休廊:2025年12月28日 – 2026年1月6日
この度、Yumiko Chiba Associatesでは、金氏徹平とリチャード・ペティボーンの二人展を開催します。
金氏は、複雑なイメージを幾重にも組み合わせたコラージュや彫刻の制作で知られています。2023 年からは、立体的な凹凸のある物体にプリントすることのできる最新技術をもちいた、多重レイヤー化され、錯綜する雑多なイメージから構成された作品シリーズ「POOOPOPOO」も手がけています。この作品では、アンディ・ウォーホルやマルセル・デュシャンの作品などの既存のイメージだけではなく、写真やチラシなどの印刷物、子供の落書きや個人的なイメージの断片など、さまざまなイメージが画面に流れ込み、絡み合い交錯しています。
ペティボーンは、既存の作家の作品イメージを小さなサイズの画面に忠実に再現した絵画を制作する作家です。その作品の小さなサイズは、彼が美術雑誌で見た作品のイメージを忠実に再現したものでもありました。それは、モダン・アートの巨匠たちの作品をミニチュア化することで、彼個人のリアルな経験や生活のなかに位置づけるという意味をもつものであったのかもしれません。既存のイメージを絵画として再現し、流用するペティボーンの手法は、1980年代に「アプロプリエーション・アート」と呼ばれる動向の基盤を形成しました。
このように、金氏とペティボーンの作品は、過去の画家たちの作品などの既存のイメージを再解釈し、解体したうえで、そこに個人的な経験を加え変化させ、別の運動や方向を与えていく姿勢によって共通していると言えるかもしれません。
今回の二人展は、ブランクーシとデュシャンを題材としたペティボーンのモノクローム絵画とともに、金氏がそれらの作品にオマージュした「POOOPOPOO」シリーズの新作で構成されます。モノクロームというルールを用いて、二人の作家がどういうゲームを展開するのか、ぜひご覧ください。
アーティストステートメント
モノクローム・ゲームとはチェス、オセロ、囲碁などの一対一で行うアブストラクト・ゲームを指します。
このコラボレーションは、ペティボンによる、20世紀のマスターピースを縮小して手描きでコピーし、積み木や玩具のように再構成する作品群と、私が2023年から展開している、やはり20世紀のマスターピースのパーツを、木、鉄板、ガラスなどの物質の上に絵の具、ステッカー、スプレー、テープなどで作ったベースの上からUVインクで多層的にコラージュし、印刷することを繰り返して新しい絵画的彫刻を作り出す「POOPOPOOO」シリーズとの類似に着目するところから始まっています。
これらのコンセプトの元には、デュシャンのレディメイドや、ブランクーシの彫刻と台座または反復的な造形に関する思考との繋がりがあります。
デュシャンとブランクーシの作品はペティボンも好んで扱う対象でした。それらを扱った作品群から、特にモノクロームの作品を集め、そのペティボンの作品群の元ネタ、またはサイズや構図を元に、新しく「POOPOPOOO」シリーズを制作しました。
モノクロームというルールを用いることで、デュシャン、ブランクーシ、ペティボンとの交通網、もしくは共通のゲーム盤や駒を作り出し、最新の印刷技術と、イメージ収集の方法を用いることで、新しい接続点を含んだ絵画的彫刻を作り出す試みと言えるのではないかと思います。
また、ペティボンのアプロプリエーション的手法の作品を、更にアプロプリエートすることで見えて来る地平は、膨大な歴史や情報、またはそのAI的な処理に対する個人的な抵抗、もしくは考察にもなりえるのではないかと考えます。
*「POOPOPOO」シリーズについて
PとOの羅列は途中までは正確に作品の制作プロセスの順番を追っていますが、途中からは無意味なフィクションです。
photo、on、phenomenon、oil、paint、of、picture、object、panel、over、pour、or、print、opposite、planet、optimize、paper、、、
液体(インクや絵の具)としての写真と絵。
リヒターの”oil on photo” 、高松の”写真の写真”から反転・展開し、”photo on oil”、”絵の写真の絵の写真”。
これらの作品は絵画ではなく、コラージュによって空間を作り出す彫刻だと考えています。
一時的な単位、空間、歴史、集団、価値、を作り、それがまたバラバラになったり、別の何かに変化していく。
閉じた一つとして見えていたものを、解体し、それ自体をマテリアルとして見て、それらの層の中に空間を作ることで異物やフィクションが紛れ込む余地を作っています。
金氏 徹平
Yumiko Chiba Associates (ユミコチバアソシエイツ)
http://ycassociates.co.jp/
東京都港区六本木6-4-1 六本木ヒルズ ハリウッドビューティープラザ 3F
tel:03-6276-6731
