<会期> 2023年11月18日(土)- 12月23日(土)
<会場> ShugoArts
<営業時間> 11:00-18:00 日月祝休
この度シュウゴアーツでは3年ぶりとなるリー・キットの個展「息をのむような虚ろな視線」を開催いたします。
今回はリー・キット本人が東京へ滞在し、ギャラリーでインスタレーションを完成させます。日本での本人による滞在制作は、2018年の原美術館での個展「僕らはもっと繊細だった。」ぶりです。
また本展では金属板を支持体にした作品や、リー・キットが日常的に撮影した画像から構成されるエディション作品「Portofolio」第二弾も初披露されます。
展覧会初日11月18日(土)は17時より作家在廊のオープニングレセプションもございます。
是非この機会にお運びください。
その風景は呼吸ができなかった。
Bは独り言を言っていた。彼はそれを警戒し、止めようとしていた。しかし彼に話しかけているのは彼自身なのだ。
Bは目の前の美しい風景を表す言葉を探していた。彼はその景色が息絶えそうになっていると感じていた。 彼はゆっくりと息を吐き、次第に弱まる気息を捉えようと再び息を吸い込むのをじっと耐えていた。
彼はある程度心地よく静かな生活の中で、落ち着きを見出すことは難しいと感じている。 彼は人生には何層もの重なりがあるかのように、実際それはそうなのだが、一つ一つ剥がしていくことが好きで、そして未だに平和な孤独に到達できない。結局今も、何かに対して激しい怒りが存在しそれが平静を阻むのだっ た。
時に傷つきやすい人はよき聞き手となる。風景に耳を傾けている時、Bは動かなかった。ただぼんやりと座ってい た。Bはかつてある人に、勇気を持ち、決して何も恐れるべきではないと告げられたことを思い出していた。そう言った本人こそ、自分が何かを恐れていることを知り、受け入れることを恐れいていた。
凝視することは息をし続けるためのよい手段だ。起こりうるあらゆることの前に、まずはひどい出来事について考え続ける。
過去と現在の、そっと突然息をのむような、その音に耳をそばだてる。
リー・キット 2023年10月
ShugoArts (シュウゴアーツ)
https://shugoarts.com/
東京都港区六本木6-5-24 complex665 2F
tel:03-6447-2234