本展は、2008年に開催した「「21世紀の思想哲学」の前夜祭―フィクション3」から3年ぶり2回目のARATANIURANOでの個展となります。
大木裕之(1964年東京生まれ)は、東京大学工学部建築学科在学中の80年代前半より映像制作を始め、卒業の翌年に制作した「遊泳禁止」でイメージフォーラム・フェスティバル1990年度審査員特別賞の受賞後、1995年には高知県立美術館制作による「天国の六つの箱 HEAVEN-6-BOX」(1994-95)で、第46回べルリン国際映画祭ネットパック賞を受賞、その後も、サンダンス映画祭、ロッテルダム国際映画祭、山形国際ドキュメンタリー映画祭など数々の映画祭で作品が招待上映され、高い評価を得ています。
その表現活動は、映像制作のみに留まらず、ライブ上映、インスタレーション、身体パフォーマンス、ドローイングやペインティング作品にまで及び、近年では「How Latitudes Become Forms: Art In a Global Age」(2003年、ウォーカーアートセンター、ミネアポリス、米国/サンドレッド・レバウデンゴ芸術財団、トリノ、イタリア)、「六本木クロッシング」(2004年、森美術館)、「マイクロポップの時代:夏への扉」(2007年、水戸芸術館)、「Out of the Ordinary」(2007年、ロサンゼルス現代美術館 MOCA、米国)、等国内外のグループ展にも多数参加し、また、昨年にはワタリウム・オン・サンデーズで個展「大木裕之展「建築の夢」」を行う等、現代美術のシーンでも常に注目を集めている作家です。
今回3年ぶりとなる個展では、展覧会タイトルを「『ROADSHOW』~〈時間―パフォーマンス〉ドクトリン・にもとづいて~」と題し、25年以上の制作活動に渡り累積された100本以上の映像作品群の中から、自身が活動の骨格を成す重要なラインと位置づけるシリーズを主体とし、3つの大きな流れを中心にして異色作から最新作までを含めて構成したプログラムを上映致します。
中心として上映される3つのシリーズは、1989年より北海道、松前町にて毎年冬に20年以上継続して撮影され、日記的に無編集で構成された手法によって、独特なスタイルを確立した長編作品群の「松前君シリーズ」。また、1991年より活動の拠点を高知に移し、高知を中心に撮影されてきた、代表作の「心の中」を含む初期中期作品。更に、フィルムからビデオへ移行した1998年以降に香川を中心に制作され、構造に基づき緻密に編集された「デジシリーズ」で構成され、展覧会後半の会期には現在も制作が進行中の最新編集された新作を織り交ぜ、大木裕之という作家の初期から現在までの映像作品の変遷を辿ると共にその全貌に迫ります。
本展の展覧会タイトルが示すように、大木は今回の上映を光、映像、建築、言葉、行動的な要素が複合的に絡み合う、有限的な時間と空間の中でのパフォーマンスと捉え、通常の上映と画したギャラリーの会期時間と空間の異なりを意識して、全体的なパフォーマンスを構築することを試みています。
ギャラリーという空間を生かし、大木裕之の集大成が上映される初めての機会となる本展覧会にぜひご期待ください。
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