EXHIBITION | TOKYO
白井美穂(Mio Shirai)
「揺れよ、チャリオット」
<会期> 2026年2月10日(火)- 4月4日(土)
<会場> Yumiko Chiba Associates
<営業時間> 12:00-19:00 日月祝休
このたび、 Yumiko Chiba Associatesでは、白井美穂の個展を開催します。白井は、1980年代末から、インスタレーション、立体、テキスタイル、ヴィデオなど、複数のジャンルを横断する多彩な活動を展開してきました。
2000年代に入ってからは絵画制作を本格化し、生命や宇宙の循環を示唆する抽象的な形態と象徴的なイメージが交錯する作品を手がけています。2024年には、府中市美術館で個展「森の空き地」が開催され、作家の持続的な思考と幅広い表現の可能性が検証されました。
この度の個展では、幾何学線や放物線、螺旋などを用いたものなど、白井が近年精力的に制作する絵画作品を展覧します。本展のタイトルである「揺れよ、チャリオット」は、古い黒人霊歌 「Swing Low, Sweet Chariot」から取られました。この歌の冒頭では、「そっと揺れて、やさしい馬車よ、私を天の住まいに連れて行くため、迎えに来て」と歌われます。Chariotとは馬車のことであり、それは人を別の場所に運ぶ乗り物としての象徴的な意味をもっています。
「絵画や彫刻を今此処とは異なる、別の世界への出口として制作している」と語る白井にとって、絵画や彫刻はつねに、別の時空への開口部や避難口であり、同時に、この世界に穿たれた別の場所そのものとして現れるものです。絵画によって世界の構造を解きほぐし、そこに新たな運動や回路を出現させる作家の新作をぜひご高覧ください。
アーティストステートメント
私は絵画や彫刻を今此処とは異なる、別の世界への出口として制作しています。現実の物質を扱いながら、その組成や形態、構造とそこに纏わる文脈を解析しつつ、それらを組み替え再編成することで因習的な規範を逸脱しうる世界の構築を試みています。
近年取り組んでいる幾何形態や流動的な線、放物線や螺旋を用いた絵画では、線やストロークによって内側に巻き込む動きと外側に放出される動きを併置し、色彩によるボリュームを伴って空間が収縮と膨張とを繰り返すような視覚表現の追求をしています。
本展のタイトルは古い黒人霊歌 “Swing Low, Sweet Chariot” からの引用で、元々は紀元前9世紀のエリヤおよび紀元前6世紀のエゼキエルといった預言者が幻視した、救済と故郷への帰還の象徴である荷車/chariotについて歌われていました。公民権運動においては自由を求める闘いの曲として、その後も20世紀の間に様々に変奏されてきました。宙を右にも左にも前にも後ろにも自在に動く4つの車輪をつけたこのchariotは1976年にはSFと組み合わせた神話となり、PファンクのパーラメントParliamentによるMothership Connectionのステージでは瀕死の世界を救うUFOとして召喚されました。
本展の絵画にあらわれる菱形は、その頂点が上下を指す2つの三角形が結合した、上も下もない世界を示唆し、同時に光の炸裂するレモン型手榴弾の様でもあります。正方形の新作はキャンバスの四辺が内側に折り畳まれた構造を備え、宙をあらゆる方向に自在に動くchariotの動きを内包しつつ、どこか別の世界への避難口であろうとしています。
白井 美穂
Yumiko Chiba Associates (ユミコチバアソシエイツ)
http://ycassociates.co.jp/
東京都港区六本木6-4-1 六本木ヒルズ ハリウッドビューティープラザ 3F
tel:03-6276-6731
