EXHIBITION | TOKYO
齋藤鷹(Taka Saito), 中村忠二(Chuji Nakamura)
「もののまなざし」
<会期> 2025年9月26日(金)- 10月18日(土)
<会場> Bambinart Gallery
<営業時間> 12:00-19:00 日月火祝休
このたびBambinart Galleryでは、齋藤鷹(2001–)と中村忠二(1898–1975)による二人展「もののまなざし」を開催いたします。
2023年の初個展を皮切りに展示活動を開始した齋藤鷹と、1920年頃より発表を重ねた中村忠二。100年の時を隔てて現れた二人の画家は、時代も環境も異なりながら、描く対象やそのまなざしに不思議な共通点を見せています。
彼らが描くモチーフは、日々の暮らしの断片や、身近に見る虫や植物、自然の景色など、足もとに広がる豊かな世界です。さらに、自身の内側にある詩情やイメージを表現するため、具象だけでなく抽象的な図像を取り入れることもあります。
そして、彼らは絵を描くとき、ただ一方的に対象を観察しているわけではありません。モチーフを見つめながら、無意識のうちに、自らの感情や記憶、価値観と向き合っています。
齋藤鷹のコメントの中に「トンボ」が登場したとき、私たちは思わず驚かされました。なぜなら、物故作家である中村忠二の文章にも、トンボとのやり取りが記されていたからです。
彼らは、モチーフからのまなざしを受け止め、呼応するようにして、絵筆を走らせていたのでしょう。「見る/見られる」という視線の往還の中で、作品が立ち上がってくるのです。
「春、池のそばへ越しました。自転車を少し走らせれば、大きな沼もあります。
キジの鳴く声に目が覚めて、子どもの頃の記憶がよぎります。
早朝、祖父の軽トラックに乗せられて、山へトチの実拾いに行った記憶。あってないような山道はひどい傾斜で、トラックは夥しい数のアブに囲まれました。
トチの実拾う私の背後、気配を感じる。
やっぱりそうだとトンボと目が合い、おまえが見たから私も見つめた。私は、ここに居ます。
池のほとりは、鼓膜が痒くなるような虫の音に、水面で忙しないカワセミ。水底では何かが這って、アメンボがその影を踏んだ。
見つめ合い、可笑しくなって、私はまなざされた絵を描くことにしました。」
(齋藤 鷹)
「何度同じような本を出してみたところで、花や虫たちという相手に変りはないのだ。
トンボが云うだろう「また僕を書くんですかい、御苦労さんですなあ」と。一寸しなを作ってポーズする。「うん書かしてもらうよ」とペンを動かす僕。
そのように描かれる者と描く奴の外形に変りはないが、いささかだがちがうことがある。それは視方ということだなあ。ある時代には美に終始し、ある時代には性を通して視たり、そしてやがてユーモアの視膜を通してみたりする。
これが生から死への生物の変化というやつだろう。
ね、ユーモアか、ええような、哀しいようなことよ。」
(中村 忠二、1979年秋。「花と蟲」より)
Bambinart Gallery(バンビナートギャラリー)
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