

最近5年間にわたり、現在も『風景』を中心に制作している。
しかし、風景(物語としての)を描くこと自体は目的ではない。
様々な素材を用いることによって、“素材としての物質そのもの”と“風景の空間・世界”とを同時に往来できることを狙いとする。
観る者に対し、同時に相反する両極の感情を喚起することの出来る、時間的にも距離的にも瞬時に行き来することの出来る画面創りを目指す。
明るいのに淋しい、遠くて近い、限りなく大きいものと小さなもの、表側と裏側…。
なぜならば、同時に沸き起こるそれは、人間が心をひきつけられるモノに共通して起こる根本的で複雑な感情であるように思えるからである。その両極を含んでこそ深い感動があり、観る者に新たな世界を構築させるきっかけを与え、そして何よりもそれは現実そのものの心理、である気がするのである。
そのためのしかけとして、既成の布や、木材による凹凸を多用する。
既成の布においては、性質や、プリント布地の模様に著しく特徴のあるものを、素材の特性を生かし画面に取り入れる。布の特質によってできる皺や窪みが、また、平面状のプリントでしかなかったものが、最低限の他の描写(遠くのものをより強調したり、現実とは逆の要素を持ち込むこと)によって新たな空間となるよう操作する。
このことにより、位相的構造があらわれることに興味があり、今、最も作品創りにおいて研究していることである。
そのためには、偶然を巧みに取り込むことが重要であり、理屈や計算では補いきれない微妙な間(ま)や、形容しがたい超感覚といった、目で視て、体で感じなければ再現できないことを痛感している。
ワダ ファイン アーツ
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